神戸大学大学院医学研究科の片岡葵特命助教と、筑波大学医学医療系の村木功教授、地域医療振興協会ヘルスプロモーション研究センターの中村正和センター長、大阪医科薬科大学医療統計学研究室の伊藤ゆり特務教授の研究グループは、改正健康増進法および東京都受動喫煙防止条例(以下、法律・条例)の施行前後における飲食店の全面禁煙化の実態を明らかにしました。日本で現在施行されている法律・条例では飲食店は全面禁煙化とはならず、いくつかの条件のもと喫煙が継続できるようになっています。本研究は、このような部分規制を伴う日本の法律・条例下で、法律・条例による規制を受ける飲食店と受けない飲食店の双方に焦点を当てて法律・条例の施行が飲食店の禁煙化に与えるインパクトを評価した国内で初めての研究です。
2025年は改正健康増進法の見直しが予定されているほか、改正健康増進法よりも規制が厳しいとされる大阪府受動喫煙防止条例が施行されました。本研究では、部分規制を伴う法律・条例のもとでは、十分な禁煙化は望めないことが明らかとなっています。本研究の成果は今後、改正健康増進法や各都道府県の受動喫煙防止条例の改正・施行に際して、部分規制による禁煙化の限界を示し、包括的な法律・条例の検討を促す重要な知見となることが期待されます。
この研究成果は、11月29日に、「BMC Public Health」に掲載されました。
タイトル
DOI
10.1186/s12889-024-20765-6
著者
Aoi Kataoka, Isao Muraki, Masakazu Nakamura, Yuri Ito
掲載誌
BMC Public Health